徳本です。
紙の資料が多いと煩雑で、取り扱いにくいと感じている方もいるのではないでしょうか。
各企業では紙の資料が多いという理由から“ペーパーレス化”が進んでいますが、そこに問題点はないのでしょうか。
確かにペーパーレス化は紙の資料の問題点である、「煩雑さ」・「効率の悪さ」・「費用が掛かること」などの解消になり、テレワーク、リモートワークの促進にもなります。
しかしその一方でペーパーレス化には、「データ消失のリスクがある」・「資料を開くのに時間が要る」・「書き込めない」などのデメリットも存在しています。
今回はペーパーレス化の問題点についての話です。
◆この記事の目次
ペーパーレス化とは
「ペーパーレス化」とは名前通り、“紙を減らすこと”を意味しています。
ペーパーレス化とは具体的にいうと、今まで紙に印刷して配布していた資料をデータ化し、これを共有できるようにすることです。
本や雑誌、新聞などの電子化や社内資料の電子化だけではなく、ICカードを使って電車に乗ることもペーパーレス化に含まれます。
「日本製紙連合会」のサイトによると、現在、新聞用紙や印刷情報用紙の需要はペーパーレス化によって少なくなってきており、2010年あたりから減少傾向にあります。
しかし2018年頃でも印刷情報用紙の需要は多く、まだ各企業では紙が大量に使用されているといえます。
ペーパーレス化をするメリットには、先に述べたように「コスト削減」・「煩雑さの解消」・「効率性アップ」だけではなく、以下のようなものもあります。
- スペース削減
- 検索性向上
- 共有と配布が容易
- 保存性が高い
ペーパーレス化をするデメリット
一見するとメリットだらけのペーパーレス化。
しかしそこにはやはりデメリットも存在しており、これを知らないままペーパーレス化を進めると不便なことになるだけではなく、情報が消えてしまうこともあります。
そんなペーパーレス化のデメリットは以下のとおりです。
データが消えることがある
飲み物が本体にかかってしまったり、不具合などによってパソコンが故障すると、それまで問題なく閲覧できていたデータが開けなくなったり消失してしまったりします。
もちろんクラウド上に保存しておけばデータは無事で済みますが、ローカル上に保存していた場合はすべて消滅。
仮にクラウド上に保存していたとしても、自分達でサーバー管理をしていた場合は不備や外部からのハッキングによってデータが壊れたり、消えたりすることもないとはいいきれません。
もっとも、印刷した資料でも紛失や汚損・水濡れのリスクはありますが、それでも探していれば見つかったり、肝心の文字情報は読み取れたりします。
しかしデータ化した資料の場合、消えてしまった場合はバックアップをとっておかないともう元には戻せません。
資料に直接書き込めない
紙媒体の資料だと取り回しが容易です。重要な箇所にペンで線を引いたり、あとから文字を書き込むこともできます。
しかしデータ化した資料の場合は、タブレットで表示している場合はタッチペンで書き込みが可能なものの、パソコン上に表示している場合はそうもいきません。
また資料の添削が必要な場合も、資料が即座に筆記可能でないと不便です。1人に1台ずつタブレットを用意していれば話は別ですが、そうなるとそのぶんの経費が掛かります。
作業の効率が下がる
これは先に述べたペーパーレス化の利点のひとつ、「効率性アップ」と矛盾するようですが、データ化した資料は何らかの媒体に表示しなければならず、そのモノによっては効率が下がることもあるのです。
たとえば小さいパソコンやタブレット端末などでデータを出した場合、文字が小さいと非常に読みにくく、資料内にグラフや数値を使っている場合でも同様のことがあります。
文字が読みにくい場合は拡大表示をする必要がありますが、その際は資料全体を表示できないので読みにくく、不便です。
データ資料だと創造的な業務をするのに向いていない
たとえば、資料を読み内容を把握してまとめる作業や、参考資料を読み込んで文章にし、話の展開を組み込んでいく作家業などの場合は、データ資料は不向きだと思います。
紙の資料であれば重要箇所にマーキングし、そこをもう一度読んで内容をより深く理解し、文章内容に反映させるなどが可能ですが、データ資料だとそういう取り回しの良さがあまりありません。
また手元の紙資料を読まなければ、頭の中で内容を深く咀嚼できないという人もいるので、資料をむやみやたらにペーパーレス化すれば良いものでもありません。
資料を開くための時間が要る
データ資料の場合、パソコンやタブレット、クラウド上のファイルの保管場所にアクセスし、クリックして数秒待つことによって初めて情報を閲覧できます。
しかし紙媒体の場合は資料を綴じたファイルを開いてしまえば済むので、あまり時間は掛かりません。
ですからデータ化した資料のうち1日に何度も見るものは、印刷して手元に置くようにすると、時間の削減につながります。
データ化資料のページ数が多くない場合は、書類が山のように重なることもありません。
まとめ
ペーパーレス化は確かに便利ですが、一方で資料のデータ化だけを推し進めると、思わぬ弊害が発生し、不便になってしまうことも考えられます。
ペーパーレス化もよいですが、必要なことは紙資料とデータ化資料、その2種類を上手く使い分けることではないでしょうか。