政治

財務省陰謀論が嘘である理由

投稿日:2020年3月19日 更新日:

森友学園をめぐる公文書改ざん問題で自殺した近畿財務局の職員は、佐川宣寿理財局長の指示を受けて公文書を改ざんしていたされています。

このことは、自殺した近畿財務局の職員の遺書に書かれていたことであり、“公文書改ざんが佐川宣寿理財局長の指示だったこと”は疑いようのない事実と言えるでしょう。



今回の報道を受け、世の中には財務省への不信感や嫌悪感が募っているかと思いますが、一方で気になる広告がネット上には載っています。

出典:Google検索

最近では新型コロナウイルスの蔓延に合わせてか、「コロナウイルスをばら撒いた真犯人」だの、「真実を語れば黒幕に消される」だの、「10万円給付の罠」だのという文章が躍っています。

この広告を出しているのは、作家、経済評論家、中小企業診断士という肩書きを持った、三橋貴明と呼ばれる存在。

この三橋貴明は以前から、「財務省が日本の政権・財界を操っていて、安倍総理がそれを憂いて対抗しようとしている!」という“財務省陰謀論”を主張してきました。

しかしこの“財務省陰謀論”、はっきり言って何の根拠もない(根拠があったとしても恣意的、あるいは偽りに過ぎない)フェイクです。

なぜ、“財務省陰謀論”がフェイクだと言えるのかというと、内閣人事局の存在および、戦後日本の構造的な問題がある以上、財務省が政権を操るなど不可能だからです。

今回は財務省陰謀論がフェイクだという3つの理由と、三橋貴明なる存在がいかにデタラメな者であるかを解説していきます。

財務省陰謀論とは

先に簡単な説明をしましたが、ここで改めて財務省陰謀論の概要について解説します。

財務省陰謀論とは、経済評論家の肩書きを持った三橋貴明が唱えた、「日本は財務省の莫大な権力によって牛耳られていて、政治家がその意向を無視すると抹殺される」という論説。

三橋は「安倍総理も日本のことを考えているが、財務省の権力によって首根っこを押さえられ、思うように動けないんだ!」と主張しています。

その根拠として三橋が挙げているのが、消費増税問題です。

三橋は財務省が度重なる増税で財政健全化を図ろうとしているとし、日本の首相や政治家は財務省の圧力で嫌々増税や売国をさせられていると主張しているわけです。

そして三橋はこの文脈で説明をし、「だからこそ自民党を応援しなければならない」と大衆を誤誘導しているのです。

三橋はこの財務省陰謀論を記した著書を経営科学出版のサイトで販売しており、ご丁寧にランディングページもつくってもらっています。

財務省陰謀論が嘘である3つの理由

しかしこの財務省陰謀論はその全てがあり得ないと断言できます。

確かに財務省は健全な財政を確保しようとしますが、それは財務省設置法にそう明記されているからです。

第三条 財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。
2 前項に定めるもののほか、財務省は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。
3 財務省は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。
(所掌事務)

引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=411AC0000000095#B

これが現在の財務省が増税を望む根拠なわけですが、一方で自民党は法人税減税を実行しています。

この法人税減税をやると、増税して得たお金が法人税の減税に使われて財務省にとっては都合が悪くなるので、財務省側にとっては抵抗すべきことのはず。

しかし法人税減税と消費税増税はすんなりと通り自民党議員はそれを支持しているという状態です。

もし財務省陰謀論が本当だとしたら、これはおかしな話です。

なぜなら“財務省が政治家を超える莫大な権力を持っている”のであれば、自民党議員を抑え込んで法人税減税政策を阻止すれば良いだけのこと。

しかし実際は法人税減税政策があっさりと通って誰も抹殺されていないので、財務省に政治家を超える権限がないとわかります。

仮に自民党が財務省の“健全な財政を確保”をどうにかしたいのであれば、法律を少し弄れば良いだけで済みます

たとえば「健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現」の箇所に“ただし、財務省の意向による消費増税はこれを認めない”とでも書けばそれで終わりです。

自民党や公明党が議会の過半数を握っていた時期であれば、それも容易いことだったはずですし、今もやろうと思えばできるはずです。

また、安倍政権の不祥事や売国等々についても“財務省の意向だ”と三橋は言いたいのでしょうが、それもフェイク

安倍晋三や自民党の議員は日本のことを考えていません

ここからは自民党が売国奴ということと、たかが一省庁に過ぎない財務省が、政治家を超える権限を持てるわけがないということについて、具体的な根拠を述べていきます。



財務省は内閣人事局の存在によって、安倍官邸の下にある

内閣人事局とは、2014年5月30日に内閣官房内へ設置された内部部局であり、各省庁の事務次官等の官僚人事を内閣が決定・管理できるようにする機関です。

憲法第73条第4号には「(内閣の権能は)法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること」と定められているも、実質的に全人事を管理することは不可能でした。

そのためこれまで実質的に各省庁の官僚人事は、ほぼ官僚側に委ねられていたわけです。

しかしこの内閣人事局が創設されたことにより、政治家が官僚人事を左右できるようになり、各省庁の次官や局長などは、全て官邸の意向で決まることになりました。

しかし、各省庁の次官、財務省の主計局長や主税局長、外務省の総合外交政策局長や経済局長、厚生労働省の年金局長といった内閣の政策に直結するようなポストであれば、職務もわかるし、そこに誰が就任するかは大きな関心事項でもあろう。ここに「官邸の意向」が官僚人事に反映されてくる余地が生まれると考えられる。

つまり、「内閣の政策に直結するようなポスト」の人事が問題なのである。

引用元:https://news.livedoor.com/article/detail/14619246/

官邸の意向で選ばれた各省庁の次官や局長などは、官邸の思惑通りに動かないと職を失う可能性があり、彼らの部下も出世を考えて官邸の意向通りに動く上司に呼応します。

官僚はあらかじめ敷かれたレールに沿って動く傾向があり法律に忠実に動くので出世先が絶たれることは官僚達にとっては大きな痛手です。

そうなると、財務省を含めた各省庁は官邸の思惑通りに動くようになります

これが森友問題等で公文書改ざんが行われた原因と言われているわけですね。

もちろん“森友問題で財務省が安倍政権に貸しを作って、増税を延期したら不正の証拠をリークする”ということもあり得ません

政権に従わないと財務省のトップは首を切られるわけですから、むしろ財務省は最初から安倍政権の公文書改ざんを手伝っていましたね

安倍晋三も新自由主義者である

続いて挙げられるのは、総理大臣の位置にある安倍晋三も増税を推進する新自由主義者だということ。

要点だけをかいつまんで説明すると、新自由主義というのは、“政府が介入しない市場の自由な競争”を掲げる経済イデオロギーです。

その根底には“全てを市場の枠組みで捉えて構築しようとする考え方”があり、そこには“市場の自由競争を促進するために法人税を削減する”ことも包含されています。

政府は法人税が下げられた場合、税収ができないので消費税を増税しようとしますが、財政の健全化を図る財務省も自然と増税を志向します。

つまりは、政府が新自由主義に基づいて経済政策を実行するので、消費税が増税されていくというわけです。

そして、内閣総理大臣の立場にある安倍晋三はグローバル壊国路線を突き進む新自由主義者です

すでにメッキの皮は剥がれているが、安倍晋三は保守ではなくて、構造改革論者のグローバリストである。2006年9月26日の第一次政権の総理就任演説では、小泉構造改革路線を「しっかり引き継ぎ」、「むしろ加速させる」と発言。  2013年7月には、シンガポールで「岩盤のように固まった規制を打ち破る」ために、自分は「ドリルの刃」になると述べ、「規制改革のショーケースとなる特区も、総理大臣である私自身が進み具合を監督する『国家戦略特区』として、強い政治力を用いて、進めます」と発言。  同年9月にはニューヨークのウォール街で、自分が規制緩和により、障壁を取り除くから、日本を買うなら今だと訴えた。  2014年1月の世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)では、徹底的に日本の権益を破壊すると宣言電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正などを並べ立て、「そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう」と言い放った。

引用元:https://hbol.jp/184439

このグローバル壊国路線を突き進む新自由主義者・安倍晋三によって、消費税は5%から8%、ついには10%へと上昇していったのです。

ちなみにネット上には「10%への増税を延期するはずだ!」という望みを抱いていた者もいたようですが、ものの見事に外れました

そして現在の安倍晋三は、新型コロナウイルス(COVID-19)への対応で後手後手に回っているわけです。



財務省陰謀論を掲げるDV魔、三橋貴明の正体

最後に、財務省陰謀論を掲げる三橋貴明の正体についても解説しておきます。

三橋は安倍晋三を擁護し、彼の政策の問題を全て財務省などに責任転嫁している存在であり、2ちゃんねる出身です。

2010年に自民党公認で選挙に出馬したものの、妻子がいる身でありながら秘書の女性と浮気したことで落選

当時の自民党本部でコスプレカラオケ大会を開き、講演会幹事長の首がとんでも反省せず、「ジーク自民」と訳のわからないことを叫んでいたという非常識人です。

また、2018年には10代の妻に噛み付くなどの暴力を振るっていたとして、警察に逮捕されています。

テレビにも多数出演している経済評論家の三橋貴明こと中村貴司容疑者 (48) が、10代の妻に噛みつくなど暴行を加え、ケガを負わせたとして、8日までに傷害容疑で警視庁に逮捕された。

同日、テレビ朝日が報じており、中村容疑者は今月5日夜、自宅マンションの部屋で10代の妻の顔を平手で殴ったり、両腕に噛みつくなどの暴行で全治1週間のケガを負わせた疑いがある。警視庁によると、夫婦間でトラブルがあり、口論になっていたことがわかった。

引用元:https://newslounge.net/archives/196950

まとめ

以上、財務省陰謀論が嘘である理由でした。

近畿財務局の職員が公文書改ざんの件で自殺に追い込まれたにも関わらず、三橋はくだらない陰謀論を唱え大衆を安倍政権支持へ誤誘導させようとしています

また、新型コロナウイルス(COVID-19)で大勢の人々が被害を受けているにも関わらず、経営科学出版は「コロナウイルスをばら撒いた真犯人」と、この状況を陰謀論に利用しています

今後、三橋貴明のGoogle広告を見たとしてもクリックしないほうが賢明だと言えるでしょう。



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