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【批判】参政党の正体が危険な政党である4つの理由

投稿日:2025年7月11日 更新日:

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徳本です。

参議院選挙が近づいてきた2025年7月現在、躍進し始めている「参政党」という政党があります。



この参政党は今、裏金問題や物価高問題等で勢力を後退させている自民党に対し、「日本人ファースト」という謳い文句を掲げて勢いを持ち始めています。

しかし、参政党は大衆の不満や怨みを煽って力を付ける非常に危険な政治屋の集まりです。

彼らは複数のデマを流布していたりトンデモ論を唱えていたり、国民の権利剥奪に繋がる憲法草案などを掲げたりもしています。

本記事では、参政党に投票することがなぜ危険なのかについて解説します。

参政党とは

選挙演説のイメージ

参政党は2020年の4月に元自民党の神谷宗幣(かみやそうへい)を中心とするメンバーによって結党され、2022年には国政政党となった政党です。

かつて新型コロナウイルスのパンデミックが発生した際は反ワクチンや反マスクなどを掲げ、「ディープステート(DS)が茶番を仕掛けたのだ」と主張していました。

2023年には神谷宗幣が新代表となり、2024年には地方メンバーが田んぼに外来種であるジャンボタニシをばら撒き、12月にはフェスを開催して憲法改正論に対し「創憲」を主張し始めました。

2025年現在は参議院選挙で急速に支持を拡大させています。

参政党の歴史を振り返る【特別企画】|黒猫ドラネコ【トンデモ観察記】

参政党の正体がやばい危険な政党である4つの理由

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参政党がやばい危険な政党である理由は、以下の4つです。

  1. 反小麦などのトンデモ論を掲げている
  2. デマに基づいて外国人に対する大衆の憎しみを煽っている
  3. 政府に対する大衆の鬱憤や不満を煽っている
  4. 国民の権利剥奪や思想・言論統制に繋がる憲法草案を掲げている

反小麦などのトンデモ論を掲げている

まず、参政党は反小麦を掲げており、反農薬を含む有機農法(オーガニック)などを主張している政党です。

元々、「波動機器メタトロン」というトンデモ医療機器を扱っている歯科医師の吉野敏明が共同代表をしており、現在は神谷宗幣が代表を務めています。

この吉野は2023年に大阪府知事選挙に出馬しており、そこでは「小麦を使った食品を食べることで癌になる」「メロンパンを食うと死ぬ」と発言していました。

現在の代表を務める神谷も反小麦の主張をしており、「小麦粉の文化は戦後77年でできたものしかない」「全部米粉で作れば良い」と演説しています。

実際は、飛鳥時代に麺類があったり鎌倉時代には饅頭があったり安土桃山時代からお好み焼きがあるとされたり、1906年(明治39年)にはもみじ饅頭が作られたりなど、戦前から小麦を使った食べ物は豊富にあります。

つまり、神谷は日本の歴史を捏造し、嘘を事実であるかのように大衆に触れ回っているわけです。

今回の参議院選挙で彼らが小麦粉に関する主張をしているのは、米不足が社会問題となっている中、「米農家を守る」という主張と相性が良かったからだと推測できます。

しかし、日本には昔から米と一緒に麦などを作る二毛作を行ってきた歴史があります。

参政党は日本の歴史の中で麦を作ってきた人々の存在を無視し、自分達が米不足の状況下で票を獲得するために都合の良い主張をしているわけです。

小麦・小麦粉の歴史|一般社団法人製粉振興会

他にも、「癌は戦後の病気」と発言していますが、古代エジプトの時代から癌はあり、戦後になってから医学の発展によって診断できる件数が増えただけに過ぎません。

参政党の主張に「もはやどこから突っ込めばいいのか…」医師作家が呆れ|日刊スポーツ

また、参政党は多国籍企業が新型コロナウイルスのパンデミックを引き起こしたと主張していますが、こちらも嘘でした。

参政党・神谷代表「多国籍企業がパンデミックを引き起こした」? 検証済みの誤情報【#参院選ファクトチェック】|日本ファクトチェックセンター(JFC)

これらを総合すると、参政党はデマを用いて外国や外国企業、外国人等に対する日本人の不満を煽り、自分達が権力を得るために都合良く利用していると判断できるのです。

デマに基づいて外国人に対する大衆の憎しみを煽っている

憎しみを煽られた人のイメージ

参政党は「日本人ファースト」と主張していますが、その根底には「外国人が政府によって過度に優遇されている」という考えがあります。

しかし、この「外国人が政府によって過度に優遇されている」という認識は間違いです。

例えば、神谷は「外国人が日本の不動産を購入し、その後で外国に住んでしまえば相続税を取りようがない」と発言しています。

実際は日本国内の土地や建物は課税対象で、所有者の国籍や住む場所にかかわらず必ず税金を支払う必要があります。

つまり、参政党は日本の土地を買った外国人について嘘の情報を流しているのです。

参政党・神谷宗幣代表の発言の真偽は? 「外国人からは相続税が取れない」と民放番組で…国税庁に確認したら|東京新聞

他にも、参政党の吉川里奈は「外国人の重要犯罪が増えており、外国人の交通事故数が増え、外国人の不起訴率は右肩上がり」と主張しています。

「外国人の重要犯罪増」はミスリード 「不起訴率が右肩上がり」は誤り 参政党・吉川里奈衆院議員の街頭演説【ファクトチェック】|沖縄タイムスプラス

2024年末の在留外国人の数は376万8977人であり、2014年末から10年経って78%増加し、訪日外国人の客数は2024年に3687万148人になっており、2014年からの10年間で175%増えています。

外国人の重要犯罪検挙数は2024年で754件で、10年間で75%増加しており、在留外国人の増加率とほぼ等しい値です。

令和6年末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

2025年 訪日外客数(総数)|政府観光局

日本人の人口は2014年と比べて4%減っているにもかかわらず、検挙数は2024年に1万1624件と32%増加しています。

また、外国人による交通事故の件数も2014年から2024年の10年間で6%増えていますが、そもそも在留外国人の数が増えているので、国内の外国人の事故に絞ると値が上がるのは当然と言えます。

外国人の不起訴率も法務省のデータによると、刑法犯として検挙された人数に対して起訴率は日本人が39.6%、外国人は41.6%と外国人のほうが高い割合です。

来日外国人被疑事件 検察庁終局処理状況|令和6年版 犯罪白書

つまり、参政党は実際のデータを無視し、デマに基づいて外国人に対する大衆の不安や憎しみを煽っているというわけです。

では、日本国内に居る実際の外国人は生活費や大学の奨学金・留学費などで優遇されているかと言うと、そうではありません。

自国民の奨学金の予算70億円、外国人留学生の予算180億円?【ファクトチェック】|日本ファクトチェックセンター(JFC)

外国人留学生には学費免除と10数万円の生活費が税金から支払われる? 対象は留学生の約3%【ファクトチェック】(修正あり)|日本ファクトチェックセンター(JFC)

2020年から始まった給付型奨学金の日本人に対する予算は増え、2022年度には2525億円になっており、外国人留学生に対する予算は2022年度で184億円です。

外国人留学生に対して政府が支援する「国費外国人留学生制度(1954年開始)」についても、その対象者は限定的です。

2023年5月時点での外国人留学生の総数は27万9,274人であり、制度の対象となった国費留学生は9,182人と全体の約3.2%でした。

2023(令和5)年度外国人留学生在籍状況調査結果|独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)

また、生活保護を受けている外国人の割合は日本人のそれよりも低いです。

2023年度に生活保護を受けた世帯数は165万478世帯で、そのうち世帯主が外国籍なのは4万7,317世帯と、全体の2%台後半で推移しています。

【外国籍世帯の生活保護】総受給世帯の約2.9% 2023年度、厚労省調べ|nippon.com

確かに政府が外国人を一気に大量に受け入れれば、各地でコミュニティ間の軋轢が生じるリスクや、体制整備が追いつかないことによる諸問題が生じることもあるのが現実です。

「助けてください」外国人“高度人材”相次ぐトラブルなぜ|NHK

しかし、一度受け入れた以上はその中で地域住民が外国人と文化の違いを尊んで接し、お互いに共生していけるようコミュニティを維持することが重要だと思います。

「あいつらは優遇されているんだ」といったデマを持ち出し、外国人を排斥することは論外です。

そもそも日本で過度に優遇されているのは、一般の外国人ではなく在日米軍なのですが、参政党はその点について選挙演説でほぼ言及していません。

特権を問う:日米関係を揺るがしたジラード事件 「密約」が阻んだ捜査 63年前の父の悔しさ|毎日新聞

日本、国連軍にも裁判権放棄密約/53年英公文書で判明|四国新聞社

米軍関係の刑法犯 低い起訴率 識者「日本が裁判権放棄した密約生きている」|沖縄タイムズプラス

また、外国にルーツがあって日本国籍を持った人々も日本国民なわけですが、参政党が仮に政権を取った場合、その人達に対しても同じく「日本人ファースト」と掲げて排斥するのでしょうか。

このように参政党はデマを用い、移民政策を実行した自公政権に対する大衆の鬱憤や不満を煽り、自分達に票が集まるように仕向けているのです。



政府に対する大衆の鬱憤や不満を煽っている

憎しみを煽られる大衆のイメージ

参政党は日本政府(自民党や公明党)に対する大衆の怨みや不満を煽り、それによって得票数を稼ごうとしている政党です。

確かに自民党は権力の座についている間、新自由主義的グローバリズム政策やアメリカへの売国を実行して国を壊した政党であり、公明党はそれに協力していました。

日本をめちゃくちゃにした自公政権に対して人々が怒るのは当然ですが、参政党はそのような大衆の鬱憤や不満に巧妙に付け入り、今度は自分達が権力の座につこうとしています。

確かに新自由主義経済やそれを前提とした過度なグローバリズムへの反対、米軍基地問題の解決などは重要ですが、参政党はこれらの要素を大衆の俗情を煽るために使っているのです。

参政党の実態は歴史の捏造やデマを用いて国民を騙し、大衆の熱狂によって支持され、その熱狂を煽ることでさらなる影響力の拡大を図るポピュリズム(大衆迎合主義)政党です。

歴史上、有名なポピュリズム政党は、アドルフ・ヒトラーが率いた国民社会主義ドイツ労働者党(ナチス)です。

ナチスはデマを用いつつユダヤ人がドイツの敵だと喧伝し、大衆の憎しみを煽ることで支持を広げ、権力の座につきました。

参政党も同じく「日本人ファースト」を掲げて外国人を日本の敵のように喧伝し、既存政党を叩き、それによって不安や怨みを煽られた大衆の溜飲を下げさせることで支持を拡大しています。

この「日本人ファースト」も外国人に対するデマや嘘をベースとして主張しているので、参政党は外国人だけではなく、実際は日本人の名誉も傷付けていると言えます。

また、参政党は発言と行動が矛盾している政党でもあります。例えば、外資系企業での勤務を批判していながら、かつての立候補者には外資系企業に務めている人が居たこともあります。

経済評論家を自称する三橋貴明も外資系企業に居た経緯がありながら、外資グローバリズムを批判して現在、参政党を応援している者です。

財務省陰謀論が嘘である理由

これらの要素から考えると、参政党は大衆を煽って票を得るためならば様々な主張をごちゃ混ぜにし、普段の発言と矛盾した行動をとる中身のないポピュリズム政党だと言えるでしょう。

国民の権利剥奪や思想・言論統制に繋がる憲法草案を掲げている

国会議事堂の画像

参政党は国民の権利剥奪や思想・言論統制に繋がる憲法草案を作成している政党です。

参政党には「創憲」と呼ばれる自分達で憲法を創り出すという考えがあり、現在彼らが掲げている憲法草案は500人以上が参加し、2年をかけて11のチームが検討した内容をまとめたものだそうです。

新日本憲法(構想案)|参政党

しかし、参政党が提示している憲法草案では、国民の要件を「日本を大切にする心があるかどうか」に求めており、それに基づいて法律で定めるとしています。

第五条 国民の要件は、父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める。

引用元:新日本憲法(構想案)|参政党

つまり、「日本を大切にする心」があるかどうかの認定権限を行政が持つことになるので、政府に不都合な人間を「お前は日本を大切にする心がない」と言って非国民扱いすることが可能です。

他にも、現行の日本国憲法に存在する人権条項(14条:法の下の平等や24条:個人の尊厳と両性の本質的平等など)がごっそり削除されており、民族差別や性差別を防ぐ条文もありません。

そのため、政府や国会が国民を人種や信条、性別などによって差別することも可能です。

第七条 家族は社会の基礎であり、恩いやりの心をもって互いに助け合う。
2 子供は国の宝である。親は、子供の成長及び教育に責任を負い、国は、その責任を補完する。
3 婚姻は、男女の結合を基礎とし、夫婦の氏を同じくすることを要する。
4 家庭、地域社会及び学校は、相互に連携して、国民の健やかな精神を育むものとする。

引用元:新日本憲法(構想案)|参政党

上記の家族に対する条文では、「家族は助け合うもの」として規定されているので、親の都合で子どもを酷使したり虐待したりすることも「思いやりがあるから」という詭弁を弄して正当化できます。

第八条3 権理には義務が伴い、自由には責任が伴う。権理及び自由は、濫用してはならない。

引用元:新日本憲法(構想案)|参政党

参政党では権利を「権理」という字で表しており、上記の条文では義務を満たしていないと「権理」を主張できないと解釈できます。

参政党の憲法草案では、政府が「義務を果たしていないとみなした」国民の権利を存在しないものとして扱えるので、国民の生存権をないものとすることも可能です。

食料に関しても憲法で制定するとしており、そこでは米だけを主食として他の農作物も全て自給自足(自給率100%以上)にするとしています。

第十条 食料は主食である米作りを中心に、種子や肥料も含めて完全な自給自足を達成しなければならない。

引用元:新日本憲法(構想案)|参政党

仮に農地を増やすと仮定しても時間がかかる上、それをするための土地もありません。農作物を全て自給自足にした場合、食料のほとんどを輸入に頼っている日本では国民のほとんどが餓死するでしょう。

また、自衛軍に関する項目では「緊急やむを得ない」と政府がみなせば、事後承認でいくらでも自衛権の発動と解除が可能です。

第二十条3 自衛権の発動と解除は、国会の承認を必要とする。ただし、緊急やむを得ない場合は、事後にこれを得るものとする。

引用元:新日本憲法(構想案)|参政党

つまりは政府の好きな時に好きなだけ軍事行動が可能ということです。何の縛りもありません。

そもそも憲法は“権力者は何をするか分からないから、その権力行使に制限をかけて暴走できないようにする”ために存在する国家の最高法規です。

参政党の憲法草案は国民に対して政府が課すものな上、政府にとって不都合な人間を排除できるようになっており、到底憲法と呼べるものではありません。

「日本人ファースト」という歪な概念を掲げながら、実際は党にとって都合の悪い日本人を追い詰められる憲法を制定しようとする政党が、参政党なのです。

まとめ:参政党の正体はおかしい危険な政党

危険のイメージ

本記事では、参政党の数々の問題を指摘してきました。

参政党は国民に対して嘘やデマを駆使し、大衆の怨みや不満を煽って力を付けていく大衆迎合型の政党です。

彼らの議席が増え、仮に国政権力を握るようなことになってしまえば、日本はさらなる地獄への道筋を転がり落ちていくことになるでしょう。

参政党の問題についてより詳しく知りたい方は、以下の北畑淳也氏(哲学系ゆーちゅーばー じゅんちゃん)の動画がオススメです。ぜひ参考にしてみてください。




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