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多くの日本ドラマがつまらない理由

投稿日:2019年8月29日 更新日:

徳本です。

“日本ドラマはつまらない”ということは何年も前から言われていることであり、今更とりあげる必要のないことかも知れません。




しかし「日本ドラマ」の多くはなぜつまらないのでしょうか。

日本ドラマの多くがつまらない原因はなんでしょうか。

予算? 役者の演技? それとも脚本?

ネット上だと「金がないからだ」とか、「演技力不足の役者が顔で選ばれるから」と言われていますが、そうとも言い切れないのが実情だと思います。

なぜなら「金があって」、「役者に演技力があり、そんな人達が多く集まっている」といった環境でも、くだらない作品が存在しているからです。

一方で日本ドラマには面白い作品があることも、事実だと思います。

今回はなぜ多くの日本ドラマがつまらないのか、その理由について私の考えを書いていきます。

 日本ドラマがつまらない理由として、おもに挙げられること

日本ドラマがつまらない理由として、ネットでは以下のようなことが言われています。

これらについて、私の個人的な意見を交えながら見ていこうと思います。

制作費がない

日本ドラマに関して、「制作費がないから、面白い作品が作れない」という意見。

確かに一見すると、当たっているように思えます。

なぜなら日本ドラマにかけられる制作費は、1本のドラマで2,000万から4,000万円ほどなのに対し、海外ドラマの制作費はドラマ1本の1話に1億から3億円かけるのが当たり前。

海外ドラマはあくまで1話だけで1億円ほどかけているんですね。

仮に1シーズン10話だったとして、その制作費は100億円以上!

海外ドラマに比べると確かに日本ドラマの制作費は、雀の涙ほどでしかありません。

しかし多額の制作費を注ぎ込んでいなくても、「面白い作品」というものは世の中に存在しています。

たとえば「B級映画」がそうですね。

B級映画は一般的な映画と比べて、低予算で作られた作品です。

B級映画のなかには今のハリウッドのドル箱シリーズとなっている、『ターミネーター』も含まれています。


ターミネーター』第1作はまだ無名に近かった頃のジェームズ・キャメロン監督のもと、640万ドルという少ない予算の中でアイデアが練り上げられ、数多くの巧みな演出が駆使されてつくり上げられたんですね。

日本にもそういった作品は存在しています。たとえばこのシリーズ。




のちの『シン・ゴジラ』へ受け継がれる要素が詰め込まれた、『平成ガメラ』シリーズ。

特撮映画の制作費は平均で約10から15億円なのに対し、この『平成ガメラ』3部作の制作費は1本あたり5億円ほどしかなく、どう見ても予算不足です。

しかし『平成ガメラ』は監督を金子修介氏が、特技監督樋口真嗣氏、脚本を伊藤和典氏が担当したことによって、重厚な物語とリアルな災害描写、印象的なカットが多数存在する、文字通りの「名作」として完成しています。

もちろん映画とドラマという分野の違いはありますが、これらのことを考えると単に“制作費が足りないこと”だけに、作品が面白くない理由を求めることは無理があるように思えます。

それにハリウッドで実写化された『ドラゴンボール』、『DRAGONBALL EVOLUTION』は、約4500万ドルという莫大な制作費を注ぎ込んで制作されましたが、原作者・鳥山明氏も酷評するほどの内容で失敗に終わりました。

つまり制作費は確かに作品の完成度に関わってはきますが、絶対に欠かせない要素だというわけではないのです。



演技力不足の役者が顔で選ばれる

こちらもネットでよく言われている意見です。

日本ドラマの現場ではイケメン俳優や美人女優、アイドルを売り出したいがために事務所がゴリ押しし、無理やり出演させてしまうというもの。

確かに役者は本来、役柄に合った顔や演技力、役を咀嚼して解釈する力、雰囲気などで選ばれます。

それを大手芸能事務所が権力を振りかざし、下手くそな役者を起用させるんですね。

かつて女優の剛力彩芽氏が多数のドラマに出演した時期がありましたが、そのときも「事務所のゴリ押し」と揶揄されていました。

確かに大手事務所からの圧力はあるのでしょう。

しかし演技力不足の役者だけがドラマに出ているのかと言えばそうではなく、高い演技力を持った役者が出ていて、そこに堅実な演出が積み重ねられ、彼らの力量が引き出されている作品もあります。

また後述しますが、一般的に“演技力がある”と言われている役者が出た作品でも、くだらないものは存在しているので、これもあまり当たらないのではないでしょうか。

演出が悪い

先に述べたように日本の役者にも、演技力のある役者はいます。

しかし演出がおかしいので作品全体のバランスが崩壊し、役者の演技力を殺してしまっている作品が、多く存在しているのではないでしょうか。

たとえば役者に無理にコミカルな演技をさせて笑いをとろうとしたり、無理にコメディ風にすることで、逆にナンセンスなドラマになってしまっているというものが、役者の演技力を殺すことに該当します。

また以下のようなものも、日本ドラマにおける、おかしな演出に当てはまるものだと思います。

  • 登場人物の心情を全てセリフで説明する
  • 驚く場面では「何だとぉ!?」のように分かりやすいリアクションをとらせる
  • いきなり路上のど真ん中で叫びだす
  • 大人が無駄に甲高い声で子供のようなセリフを言いまくる

この「演出が悪い」という指摘に関しては、当たっているのではないでしょうか。

脚本が薄っぺらい

続いて挙げられる日本ドラマの問題点は、脚本がつまらないということ。

先に述べた、事務所ゴリ押しの役者ありきドラマに辟易し、まともに脚本を練り上げようという脚本家が少なくなっているのかも知れません。

あるいは脚本家がまともに脚本を書いても、事務所のゴリ押しやテレビ局の都合で改変させられ、内容がつまらないものになってしまっていることも考えられます。

そしてそういう環境が腕のない脚本家を生み出す土壌になっているのでしょう。

また視聴率がとれるからという理由で、同じパターンを繰り返すという作品も現に存在しています。

『ドクターX』なんかがその、“同じパターンを繰り返すドラマ”ですね。

ちなみに『ドクターX』の脚本は、NHK大河ドラマ、『西郷どん』を書いた中園ミホ氏でした。

この視聴率というのが曲者で、視聴率欲しさのために複雑な話や社会風刺、毒の込められた話を避けて、薄っぺらい型にはまったお決まりのドラマが量産されているわけです。

作品や役者がスポンサーや広告代理店の消費財になっている

日本の芸能界では演技力や実力は関係なく、ただスポンサーや広告代理店の看板として役者が位置づけられ、ドラマや映画が作られ続けているという意見。

この、“役者が広告代理店の看板になっている”という意見は的を射ているのではないでしょうか。

事実、民放ドラマのスポンサーに多い化粧品会社の顧客層に合わせてドラマは作られているという、脚本家の発言もあります。

上記の記事ではそれが、恋愛ものや刑事もの、弁護士ものが多く、逆に社会風刺やSFものなどが少ない理由とされています。

しかしそれ以前に戦後日本には、“社会風刺”や“社会問題提起”をよしとしない風潮があるのでしょう。

そこにも広告代理店やスポンサーにとっての利権が、関係しているのではないでしょうか。

そして最終的に視聴率も悪くなり、DVDやブルーレイも売れず、コンテンツ自体が衰退していく。

そういう悪循環に陥っているのが、今の日本ドラマの現状なのでしょう。



まとめ

今回は日本ドラマがくだらないと言われる理由を見ていき、それらについて個人的意見を交えながら述べていきました。

冒頭で述べましたが、日本ドラマにも、大沢たかお氏が主演を務めた『JIN-仁-』のように、面白い作品があることも確かだと思います。

私はNHK連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」を観ていますが、これまで『あさが来た』や『ひよっこ』、『スカーレット』など、そこには質のよい作品が確かにあったと認識しています。

それら朝ドラ3作品は登場人物の動きに少し漫画っぽさはありましたが、それでも内容の深さがその問題点を帳消しにしてくれていました。

しかし一方で朝ドラの中にもつまらないと思える作品は存在しており、特に『なつぞら』の前作、『まんぷく』は、個人的に“ドラマの否定”としか思えない内容でした。

私が感じた『まんぷく』の問題点には、以下のようなことが挙げられます。

  • 時代考証が杜撰極まりない
  • 人物描写に“偽造品を作る”、“相手を恫喝する”など倫理的な問題がある
  • ご都合主義のオンパレード
  • 過度な老人軽視
  • 食品テーマの作品なのに、食べ物を軽視あるいは粗末にしている
  • モデルとなった人物のルーツ隠蔽

まんぷく』の主演には“演技力がある”と言われている、女優の安藤サクラ氏を起用したのに、肝心の内容はこうなってしまったんですね。

朝ドラ以外に目を向けてみても、ワンパターンな内容、コミカルさを意識して逆に滑っている話、漫画原作を無理に実写化したことで滑稽になったドラマなどが多く存在しているように思います。

結局日本ドラマが今の状況から脱するためには、ビジネスモデル自体を変え、脚本家や演出家に腕のある人間を採用するしかないのかも知れません。



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