徳本です。
2023年の10月に日本政府と財務省が主導する「インボイス制度」が開始されました。
しかし、このインボイス制度が施行されてしまった状況下は、日本経済と日本国民全体に多大な悪影響をもたらすことになるのです。
その理由の一端は、日本企業の約90%以上を占める中小企業への大打撃と、農家への壊滅的打撃、日本の文化やカルチャーを支える人々を含む個人事業主へ悪影響が及ぶことにあります。
他にも、日本全体での物価高騰や全国民の電気代が上がるなどの問題も発生し、取り返しの付かないひどい事態に陥ってしまうのです。
本記事では、日本国民がなぜインボイス制度に反対すべきか、その理由について解説します。
◆この記事の目次
インボイス制度とは何か?なぜ反対すべきか?
まず、インボイス制度とは何かについて簡単に解説します。
インボイス制度とは簡単に言うと、「売上高1,000万円以下の小規模事業者(消費税の納税義務が免除されている事業者)から、消費税を徴収する制度」です。
「インボイス」とは「請求書・領収書」を意味する言葉ですが、このインボイス制度では「適格請求書」を発行する課税事業者として登録すると、売上高1,000万円以下の事業者にも消費税の納税義務が生じます。
「事業者はインボイス登録をすれば良いでしょ?」と思いがちですが、売上高1,000万円以下の小規模事業者に消費税の納税が義務付けられると、小規模事業者は大打撃を受けることになるのです。
「でも、それは事業者が消費税を納めずに脱税していたのを是正するんでしょ?」「消費者が納めた消費税をネコババするな!」と考える人もいるでしょうが、そうではありません。
小規模事業者が消費税を納めなくて良い理由は、売上高の少ない事業者を守るためなので、そもそも脱税ではありません。また、消費税を納めているのは、本当は消費者ではなく事業者なのです。
以下、政府と財務省が長年使ってきた消費税についての巧妙なレトリックと、それによってインボイス制度が多くの国民に勘違いされている悲惨な現状について解説します。
反対すべき理由1:インボイス制度は勘違いされている
まず、インボイス制度を理解する上で問題となるのが、消費税に対する勘違いです。
消費税は言葉を聞くと、物を買う際に消費者が納める税金のように思えてしまいますが、実際は物を売っている事業者が納めています。
「え? 消費者が納める税金ではないの?」と思う方もいるでしょう。消費税について正しく理解するためには以下の3つのポイントをおさえることが大切です。
- 消費税は預り金ではない
- 免税事業者は益税事業者ではない
- 消費税という税制は異常な税制
以下、消費税について正しく理解するために上記のポイントを確認していきましょう。
消費税は消費者からの預り金ではない
消費税は消費者が納める税金ではなく、レストランや小売業者、中小企業などの事業者が税務署に納める税金です。
(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。(納税義務者)
第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。引用元:消費税法|e-Gov法令検索
物を買うときに「10%の消費税額」としてついている金額は、「事業者が消費税を税務署に納めるための利益を得るために必要な金額」なのです。そのため、事業者は例えば100円の商品をそのまま100円で売っても良いのです。
消費税は普通の国では消費税と呼ばれずに「付加価値税」と呼ばれます。この「付加価値」とは、事業者の売上高から材料の仕入額や製造額等(原価)を除いた売上総利益(粗利)のことを言います。
売上高は、サービスや商品を販売することで得た対価の総額をいいます。
売上総利益とは、売り上げから商品の原価を引いた利益のことで、粗利(あらり)、粗利益(あらりえき)ともいいます。
売上総利益は、財務諸表のひとつである損益計算書の中で一番初めに出てくる利益で、大雑把な企業の収益を表しています。
企業が生産によって生み出した価値であり,企業の総生産額から,その生産のために消費した財貨や用役の価額を差引いた額。
引用元:付加価値|コトバンク
税制上における付加価値という言葉は、経済学における意味が使用されているので、経営学上の意味は関係ありません。
つまり、事業者の稼いだ金額のうち売上総利益(粗利)から差し引かれる税金として、付加価値税(消費税)は設定されているので、消費者が支払うお金ではないのです。
よって、「事業者が消費者から税金を預かっている」ということにはならないのです。
しかし、物を購入した際の領収書に「100円(税込110円)」などと記載されていることで、多くの国民は「消費税は消費者が支払うもの」と思い込まされてきたのです。
免税事業者は益税事業者ではない
売上高1,000万円以下の事業者は2023年9月の時点で免税事業者に該当しますが、この免税事業者は益税事業者ではありません。
免税事業者は呼び名の通り、付加価値税(消費税)の納税義務が免除されていますが、その理由は小規模事業者が生活を維持できるようにするためです。
例えば、100万円稼いでいる小規模事業者が居たとして、その事業者から付加価値税(消費税)を徴収した場合、その手元には50万円しか残りません。
手元に50万円しか残らない場合、家族を持って子育てをしている人などは生活できません。
より収入が低い業者であれば、手元に残るお金はより少なくなって生活が破綻します。そういった人を発生させないために免税制度が適用されているのです。
「売上高1,000万円以下の事業者は消費税を支払う義務を履行していないからポッケないないしている! 益税だ!」と言う人が居ますが、益税ではありません。
仮に上記を益税だとした場合、例えば所得税の内容がおかしなことになります。所得税は所得に応じて税率が変わる税金です。
所得税率は所得から所得控除を差し引いた課税所得額に応じて5~45%です。所得税は累進課税になっていて、所得の高い部分ほど税率が高くなります。
所得の少ない人が5%の税を納めている場合、所得の多い人が30%の税を納めているとします。その場合、所得の少ない人が益税していると言えるでしょうか。言えません。
所得額によっては所得税の納税が免除されることもありますが、これを益税だと言えるでしょうか。言えません。
なぜなら所得税は所得に応じて税率が変化するからであり、これを益税といえばこの税制そのものが成り立たなくなります。
そもそも税制は税金を多く出せる人が多くのお金を納め、少ししか出せない人は少額のお金を納めるか納めなくて良いという「応能負担の原則」によって成り立っています。
応能負担原則とは、「国民の租税負担がそれぞれの国民の租税を負担しうる個人的な経験的な経済的能力、つまり、国民の担税能力に相応しているものでなければならない」という原則である※。もう少し簡単に言えば、納税義務者がその負担能力に応じた納税義務を負うということである。これを課税の側に直せば、納税義務者の資力など担税力に応じた課税を行うような立法を行わなければならないということである。
応能負担の原則の根拠は、憲法上で定義される「個人の尊重」「法の下の平等」「健康で文化的な最低限度の生活保障」「財産権の保障」です。
「法の下の平等」は租税面において「実質的平等・能力に応じた平等」と解釈されており、経済力に応じた租税がされる「累進税」を政府に要求する根拠になっています。
つまり、免税事業者が存在することは応能負担の原則に沿った税制上、何もおかしくないことなのです。
応能負担の原則が消費税にも適用されているので、小規模事業者は免税されているわけです。むしろ「免税事業者は益税している」という理屈はおかしいことが分かるでしょう。
消費税という税制は異常な税制
付加価値税(消費税)は経済力に関わらず、一律の税率で税金を徴収するため、応能負担の原則から言って異常な税制です。
付加価値税(消費税)は、経済的に豊かな人も貧しい人も一律の税率で税金を納め、貧しい人のほうが税負担が大きくなるという問題を抱えています。
このことを付加価値税(消費税)の「逆進性」と言い、その改善のために軽減税率が導入されたとされますが、実際は問題の解決になっていません。
軽減税率の8%と標準税率10%の差が小さく、飲食料品等を除く生活必需品には10%のまま軽減制度が適用されないので、根本的には意味がないのです。
また、インボイス制度で免税事業者から10%の付加価値税(消費税)が徴収されるようになった場合、さらに貧しい者から多額の税金が取られることになります。
税の応能負担という根本の原則に反し、貧しい者であればあるほど税負担が苛烈になる異常な税制、それが付加価値税(消費税)の実態なのです。
反対すべき理由2:インボイス制度で日本が崩壊する
売上1,000万円以下の事業者には、日本の食を支える農家の人、物流を支える配送業者や個人タクシー、文化やエンターテインメントを支える作家、脚本家、俳優や声優の方などが居ます。
仮にインボイス制度がこのまま施行された場合、日本は以下の最悪の状況に陥ります。
- 中小企業が大打撃を受け、日本経済が崩壊する
- 農家が壊滅的大打撃を受け、日本の農業が崩壊する
- 全国民の電気代が上がる
- 個人事業主が大打撃を受け、日本の文化・カルチャーが崩壊する
中小企業が大打撃を受けて物価が上がり、日本経済が崩壊する
まず、日本に存在する企業が大打撃を受け、日本経済が完全に崩壊するでしょう。
インボイス制度が施行された場合、小規模事業者は適格請求書発行事業者(課税事業者)と免税事業者に大別されてしまいます。
課税事業者になった場合は少ない売上から税金を取られて困窮し、免税事業者のままで居た場合は元請け側からの取引が打ち切られる可能性があります。
なぜかと言うと、業者がインボイスを保存できていないと付加価値税(消費税)の仕入れ分にかかる税額を控除できないからです。
つまり、インボイスを発行できる事業者との取引でない場合、元請けは原材料や購入した製品にかかる仕入れ税額を納めなければならないので、下請けは取引を打ち切られやすくなるのです。
インボイスがある場合、元請けは仕入れ税額控除が可能なので取引は継続されるでしょうが、そこから仕事を得ている人は付加価値税(消費税)を納めなければなりません。
2023年9月現在、インボイス制度の実施後6年間は、仕入税額の一定割合を控除可能な経過処置が設けられていますが、これもあくまで経過処置です。
しかし、激変緩和の観点から、免税事業者等からの仕入れについても、インボイス制度
実施後6年間は仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置が設けられている。
インボイス制度実施後の3年間は80%控除、そこからさらに3年間は50%控除と徐々に控除額が減っていきます。つまり、経過処置期間は早くインボイス登録するように急かす期間なのです。
仮に元請け側が「分かりました。免税事業者のままでもお付き合いします」と取引を継続してくれたとしても、問題になります。
なぜなら、元請け側は仕入れ税額が控除できないので、それらを納めなければならないからです。
つまり、財務省は今まで取れなかった分の付加価値税(消費税)を、必ず徴収できる仕組みになっているのです。
こうなると、下請け側と元受け側の企業は納税額分を商品価格に転嫁するケースもあります。結果、物価が上がります。
物価が上がると、消費者側にとっても物の購入時に支払う金額が増えるので、実質的に消費増税と同じく家計が苦しくなるのです。
ただでさえ、プーチンのウクライナ侵攻やアベノミクスのツケ等によって物価が上がっている状況です。それがさらに悪化した場合、日本経済が大打撃を受けることは必至です。
また、取引が打ち切られる事業者や仕入れ税額控除ができない事業者、価格転嫁ができない事業者の増加によって、日本国内の零細企業や中小企業が次々に倒れていくことも考えられます。
他にも、あらゆる業種で可能だった既存の取引が成り立たなくなり、各企業の生産物の品質が低下することも懸念されます。
農家が壊滅的大打撃を受け、日本の農業が崩壊する
インボイス制度が施行されると、農家が壊滅的大打撃を受けます。
農家の方々は育てた農作物を農協を通じ、卸売市場や仲卸業者を経て小売業者へと販売しています。
この取引にもインボイス制度が適用されるので、農家の方は売上高の10%の付加価値税(消費税)を納めなければなりません。
しかし、農家は儲かりにくい状況に置かれており、地球温暖化や異常気象によって農作物が育たずに損害を受けているところもあります。
農家が追い詰められているところにインボイス制度が施行されれば、日本の農業は崩壊する可能性が高いです。
日本の農業が崩壊すると、遺伝子組み換え食品で悪名高いモンサントのような、外資系企業が介入する可能性も否定できません。
全国民の電気代が上がる
インボイス制度が施行されると、電気代が上がります。
2023年9月現在、各電力会社には各家庭に設置されている太陽光パネルで発電された電力を買い取る、「固定価格買い取り制度(FIT)」が定められています。
従来は仕入れ税額の控除によって、電力を買い取る際に支払う付加価値税(消費税)を納めるためのお金と、電力を売る際に受け取る同種のお金は相殺されていました。
しかし、インボイス制度が施行されれば、一般家庭が免税事業者として扱われるので電力会社は仕入れ税額控除ができません。
電気代がインボイス制度導入で10月に値上がり…電力会社の負担が消費者にしわ寄せ|東京新聞
結果、控除できずに税務署へ納める金額分が価格転嫁され、電気代が上がることになるのです。
個人事業主が大打撃を受け、日本の文化・カルチャーが崩壊する
インボイス制度の施行によって、作家や脚本家、俳優や声優の方などを含めた個人事業主は大打撃を受けます。
個人事業主の多くは売上高1,000万円以下であり、インボイスを発行する課税事業者になってしまえば生活ができなくなります。
仮に免税事業者のままで居た場合は、彼らに仕事を発注する出版社や制作会社などが取引の打ち切りや契約の中断を言ってくるでしょう。
俳優や声優、作家や脚本家の技術は唯一無二のものが多いので、いきなり取引を打ち切るとは限りませんが、免税事業者のままだと制作会社の税負担が増加します。
仮に、制作会社が免税事業者と取引を続けて仕入れ税額控除分を価格転嫁できる場合は、その会社が展開する商品の価格が上がります。
価格転嫁できない小さな制作会社の場合は、大きな税負担により倒産する可能性が高いです。
「取引先に迷惑だから」と俳優や声優がインボイスを発行する課税事業者になった場合は、多大な税負担が生じるので、廃業を選択する人も出てきます。
つまり、インボイス制度の施行は日本の文化やカルチャーを破滅に追いやることになるのです。
インボイス制度についてミスリードさせようとする人々
今まで見てきたようにインボイス制度は日本経済を破滅させ、人々の健康で文化的な最低限度の生活を脅かすものです。
しかし、なぜかこのインボイス制度を奨励し、「課税事業者になるべきだ!」「益税解消のために必要だ!」と煽り立てる人々が居ます。
具体的には橋下徹や堀江貴文、ひろゆき、中田敦彦、岸博幸、高橋洋一などが該当します。彼らは上記に挙げた税制の仕組みやインボイス制度の本質を知っているのでしょうか。
仮に知っていて奨励しているのであれば人間として論外ですが、知らないで奨励していたとしても、発言に対する責任感がなさすぎると言わざるを得ません。
なぜなら、自分達の発した情報で人々の間にインボイス制度に対する間違った理解が広がり、制度を推す人の数が増えてしまう可能性を彼らが考慮しているとは思えないからです。
仮にインボイス制度に対して間違った理解をして制度を支持する人の数が増え、日本経済が破綻し、大勢の人々が死んだとしても彼らは責任を取らないでしょう。
かつて、ナチス・ドイツが合法的にユダヤ人の大量虐殺を実行した際、当時のドイツ国民の多数は見て見ぬふりをし、あの地獄はナチスが滅ぶまで続きました。
強制収容所が解放された際、「知らなかったんだよぉ!」と言い訳をした人々に対し、ユダヤ人は「いや、あなた達は知っていた。見ようとしなかっただけだ!」と告げました。
上記の発言に責任感のない者達は、この時のドイツ人達と同じことを繰り返すつもりなのでしょうか。それとも犠牲者を完全に無視するのでしょうか。どちらにしても愚かでしょう。
インボイス制度には反対すべき
インボイス制度の問題を放置したままだと、日本経済が破滅し、文化も衰退の一途を辿ることになります。
日本政府と財務省が進めるこのインボイス制度を止めるには、制度の施行自体に打撃を与えてやれば良いのです。そのためには、以下の方法があります。
- 課税事業者に登録しない
- 登録した事業者はそれを取り消す
課税事業者への登録者数が少なければ、インボイス制度が成り立たなくなるので、廃止せざるを得なくなります。
まず、インボイス制度の施行中に正しい情報を広めて廃止に追い込むという方法が現実的です。
インボイス制度の施行を食い止めるためには、「課税事業者に登録しないで様子を見る」「登録した場合はそれを取り消す」ということが必要です。
ただし、制度施行前とは異なり、課税事業者に登録した後に免税事業者に戻るにはある程度の時間がかかります。
混迷するインボイス制度 スタート1ヶ月前にもかかわらず周知不足 導入中止すべきこれだけの理由 税理士・神田知宜|長周新聞
先日、STOPインボイスの団体が岸田文雄の秘書に54万筆を超える署名を手渡しましたが、岸田は制度をそのまま施行しました。
岸田は「何年にもわたって説明を続けてきた」と言い張っていますが、本記事で確認してきたように、その中身は嘘と欺瞞に塗れたものでした。
来月開始のインボイス制度 岸田総理「何年にもわたって対応を考え 説明を続けてきた」|Yahooニュース
嘘と自己欺瞞に塗れた岸田政権(自民党)と財務省に打撃を与え、インボイス制度の廃止につなげるために反対の声を増やしましょう。
以下のオンライン署名(無料)のページからスマホやパソコンで署名ができるので、ぜひ署名をしていただければと思います。
《#STOPインボイス》多様な働き方とカルチャーを衰退させるインボイス制度に抗議します|Change.org
壊国・売国勢力から日本と日本国民を守るために、皆でインボイス制度を廃止させましょう!